MS擬人化で萌えよう まとめサイト(仮)


● デスサイズギルティの衝動 ●


  それは、冗談無しに突然の事だった。

 デリンジャーアームズ 「おいギルティ」

 Dサイズギルティ 「ん?あぁ、デリっちか・・・どしたの?」

 デリンジャーアームズ 「その呼び方はやめろと言っておるだろう」

  とある学校の廊下。そこに1人の少女がごく平凡に歩いていた。

  彼女の名前は、ガンダムデスサイズギルティ。

  そしてギルティを呼び止めたのは、デリっちことガンダムデリンジャーアームズ。

 デリンジャーアームズ 「貴様、奴に好意を持っておるな?」

 Dサイズギルティ 「・・・はぁ?な、なな、何のこと?奴って、だだ、だぁれ?」

  そして何の前フリも、前触れもないデリンジャーの質問に、ギルティはとっても分かり易い反応を見せる。

 デリンジャーアームズ 「隠す事はなかろうに。お前のセラフィムに対する感情などお見通しよぉ」

  デリンジャーは自信たっぷりに胸を張り言いのける。

  ちなみにセラフィムとは、デリンジャーやギルティのクラスメートである、

  ウイングガンダムセラフィムという、近頃この学校に転校してきた男子の事であり、ギルティの隣の席である。

 Dサイズギルティ 「べ、べべべべべべべ、別に隠すなんて・・・・・・。

           そんな感情元から・・・無い・・・わけだし・・・その・・・」

  ニヤニヤしているデリンジャーを余所に、顔を赤くして否定しているギルティであったが、とても分かりやすい。

 デリンジャーアームズ 「では、セラフィムはこの俺が取ってもいいわけだな?」

 Dサイズギルティ 「ふぇ?だ、だめよ」

 デリンジャーアームズ 「くくく・・・何故ダメなのだ?

             好意を持っていないというのなら、別にオレが奴とどうなろうが関係なかろう?」

 Dサイズギルティ 「そ、それはぁ・・・」

 デリンジャーアームズ 「まぁ、オレも鬼ではない。もう一度チャンスをくれてやる。

             お前はセラフィムに好意を持っているな?奴に惚れているな?」

  赤くなってうつむいているギルティに、デリンジャーは更に追い討ちを掛ける。

  それと言い忘れたが、デリンジャーは口調こそ野郎だが、一応女に分類される。

 Dサイズギルティ 「・・・」

 デリンジャーアームズ 「さぁ、どうなのだ?

             早く答えんと、今日の放課後にでも奴とあ〜んな事やこ〜んな事もする予定なのだがな・・・」

 Dサイズギルティ 「だ、だめぇ〜!」

 デリンジャーアームズ 「ぷっ!な、なら・・・ククク・・・は、早く答えよ・・・」

  涙目になるギルティの必死な止めに、思わず噴出してしまうデリンジャーであった。

  つか、コイツまた何か企んでるな・・・。

  そしてしばらくして、ギルティは諦めたかのように口を開いた。

 Dサイズギルティ 「・・・わかったわよ。そうですよ、アタシは彼が好きですよ・・・・・・」

 デリンジャーアームズ 「フッ・・・ようやく白状したか」

  顔を最高に真っ赤にしてボソッと呟くと、デリンジャーは怪しげな笑みを浮かべた。

 デリンジャーアームズ (やはりか・・・、相変わらず分かりやすい頭をしている・・・)

 Dサイズギルティ 「で?それが何なのよ?事と次第によっちゃ殺すわよ?」

  初めは恥ずかしそうにしていたが、やがて殺意が芽生えたようだ。

 デリンジャーアームズ 「なに・・・、胸は無い、成績低め、

             運動だけが取り得のバカ娘に、恋の手助けをしてやろうとしている」

 Dサイズギルティ 「なっ!誰がバカ娘よ!た、確かに・・・べんきょうは・・・にがて・・・・・・だけどさ・・・ぅぅ」

 デリンジャーアームズ 「泣くな泣くな。運動だけできる分、マシな方さ」

 Dサイズギルティ 「アンタが言ったんじゃないのよぉ!」

  自分で言う内に涙目になってきたギルティを、デリンジャーは彼女の頭を撫でて宥める。

  とても同学年には見えない・・・。

 Dサイズギルティ 「そ、それで、恋の手助けって?」

  涙を拭いながらデリンジャーに問い掛ける。

 デリンジャーアームズ 「貴様、奴に告白をしようとしているな?」

 Dサイズギルティ 「ぎくっ!」

 デリンジャーアームズ 「しかし、その勇気が無い。むしろ普段すらまともに喋れてない」

 Dサイズギルティ 「ぎくぎくっ!!」

 デリンジャーアームズ 「2人きりになろうとしても、常にセラフィムの周りには誰かが居てなかなかなれない」

 Dサイズギルティ 「ぎくぎくぎくっ!!!」

  直球過ぎるデリンジャーの質問に、まるで正解とばかりに反応を見せる。それじゃあ、まる分かりである。

  その反応を、笑いを堪えながらデリンジャーは見ているが、当の本人は気付いていない。

 デリンジャーアームズ 「く・・・くくく・・・・・・そ、そこで、このオレが告白の場を用意してやると言うのだ」

 Dサイズギルティ 「ほ、本当に!?」

 デリンジャーアームズ 「本当だとも」

  その時、怒りとかとにかく負の感情に支配されていたギルティの表情が、一気に明るくなる。

  しかし、次の瞬間その表情は一変して、少し困惑していた。



 Dサイズギルティ 「でもさ、なんでデリっちがそんなに協力してくれるの?

           その前にどうしてアタシの気持ち知ってんの?」

  ギルティは不思議そうな表情でデリンジャーに問い掛けた。

  この人の気持ちについては表情に出るということにして、何故協力的なのかは不明なのだ。

 デリンジャーアームズ 「貴様の気持ちだと?ふっ、簡単な事・・・・・・それは、オレ様だからだっ!!」

 Dサイズギルティ 「は・・・?」

 デリンジャーアームズ 「オレ様だぞ?オレは天の道を往き全てを司る者だぞ?

             くく・・・貴様の心理を見抜くなど、息を吸って吐く程度に造作もない事!!」

 Dサイズギルティ 「は、はぁ・・・。どうでもいいけど、天の道を往きとかは板違いなんじゃ・・・」

 デリンジャーアームズ 「オレ様だからいいんだ!それに、おばあちゃんが言ってた。

             『困った女の子は助けてやるのが人の道』、とな」

 Dサイズギルティ 「そんな事言ってったっけ・・・?まぁいいや、協力してくれるならお言葉に甘えちゃおうかな・・・」

  デリンジャーが胸を張り高らかに叫ぶなか、ギルティは困惑しながらもデリンジャーに協力を要請する。

  この女は敵に回すと恐ろしいが、味方に付けると割りと心強いのだ・・・・・・多分。

  つーか、デリンジャー?またデリっちって呼ばれてるぞ?

 デリンジャーアームズ 「では、詳しい作戦は明日、オレと貴様のクラスが合同で行う調理実習で。

             作戦の一部は放課後伝えるとしよう」

 Dサイズギルティ 「へ? なんで?」

 デリンジャーアームズ 「貴様は次の授業は移動ではないのか?」

 Dサイズギルティ 「へ? 移動・・・あぁ〜〜〜!」

  ギルティは次の授業が移動しなければいけない。その途中でデリンジャーに呼び止められたのだった。

  それを思い出したのか、あからさまに慌てだす。その様子を、実に楽しそうにデリンジャーは見ている。

 Dサイズギルティ 「やっば〜い! じ、じゃあ、また放課後にね?」

 デリンジャーアームズ 「うむ、気をつけろ」

 Dサイズギルティ 「わ、わかって・・・ふわあ!」

  ギルティが慌てて走り出そうとした時だった。自らの足に器用に引っかかり、盛大にコケた。

  し、しかも・・・これは!転んだ拍子にスカートが捲れて・・・!

 デリンジャーアームズ 「ぷっ! だ、大丈夫か?」

  その光景を、何度目だろうか、笑いを堪えて見ているデリンジャー。

  ギルティは「いてて」と言い、おしりを摩りながらも立ち上がる。

 Dサイズギルティ 「う、うん大丈夫大丈夫。それよりアタシ急ぐから、また後でね〜」

 デリンジャーアームズ 「あぁ」

  そして、最後にデリンジャーに笑顔を放ち、ギルティは教室へと走っていった。

  ギルティが見えなくなるまでその場に居たデリンジャーは・・・、

 デリンジャーアームズ 「ふっ・・・くっくっく・・・・・・第一段階は成功と言ったところか・・・」

  なにやら意味深な発言をしている。

 デリンジャーアームズ 「おばあちゃんはこうも言ってた。『悪魔の囁きは時として天使の声に聞こえる』・・・とな」

  そう言うと、高笑いをしながら自分の教室に戻っていく。



  翌日・・・。


 Dサイズギルティ 「う〜〜ん・・・

  ギルティは悩んでいた。

  手元には白い包みと赤いリボンで、綺麗かつシンプルに何かを包んでいる小さな包み。

  それと言わば睨めっこ状態である。

 サンドレオン 「どうしましたギルティさん?」

 Dサイズギルティ 「あ、レオン・・・ちょっと、ね」

  そんな睨めっこの中、ギルティと同じクラスのガンダムサンドレオンが、

  丁寧な口調ながら少し心配そうな面持ちで話しかけてくる。

 サンドレオン 「何かお悩みでもあるのですか?もしかして調理実習で美味く作れなかったとか・・・」

 Dサイズギルティ 「ううん・・・そんな事無いけど・・・」

  レオンの言うとおり、今日調理実習で作ったクッキーは美味く作る事ができた・・・・・・一箇所を除いては。

 デリンジャーアームズ 「ハッハッハ!どうしたギルティよ?」

 Dサイズギルティ 「デリっち・・・」

 デリンジャーアームズ 「その呼び方はやめないか」

  更にレオンの背後から、相変わらずの野郎口調で高笑いをしながら事の原因が近付いてくる。

 デリンジャーアームズ 「それで、例の物は入れたのだろうな?」

 Dサイズギルティ 「うん・・・一応ね・・・」

 デリンジャーアームズ 「ならば何を躊躇している?さっさとセラフィムに渡して来たらどうだ?」

 Dサイズギルティ 「で、でも・・・」

  サンドレオンに聞こえないよう、2人でなにやらコソコソと話している。

  どうやら、昨日デリンジャーが言っていた作戦とやらで何かしたらしいが、

  実行した本人は不安でしょうがない様子。

 デリンジャーアームズ 「・・・仕方ない。こんな事もあろうかと、セラフィムを呼んできたぞ」

 Dサイズギルティ 「えぇ?」

 セラフィム 「ギルティ・・・俺に何か用か?」

 Dサイズギルティ 「あ、せ、セラフィム君・・・」

  そこにデリンジャーとレオンの間から、

  ギルティの想い人であるウイングガンダムセラフィムが無表情ながら現れる。

  実を言えばデリンジャーが現れたあたりから居たのだが、ギルティの目には入っていなかった。

  決してわざととかそういうのではなく、

  本人は作ったクッキーの事で頭がいっぱいなので気付かなかっただけで、

  そもそもセラフィムは普段から無口でム愛想な為、偶に気付かれない時がある。

 セラフィム 「・・・どうした?顔が赤いぞ・・・風邪か?」

 Dサイズギルティ 「な、なな、なんでもないよ・・・」

 デリンジャーアームズ 「ククク・・・相変わらず顔に出る奴よ」

 サンドレオン 「あらまぁ、青春ですねぇ」

  無表情ながらギルティを心配し、彼女の顔に近付いていくセラフィムに対して、

  ギルティは顔を赤くして顔を背ける。

  その光景をデリンジャーとは実に楽しそうに、少し天然入ってるサンドレオンは、ニッコリと笑って見ている。

 セラフィム 「それで・・・用とは・・・」

 Dサイズギルティ 「えっと・・・そのぉ・・・」

 デリンジャーアームズ 「フフフ・・・ギルティはお前に渡したい物があるそうだ」

 Dサイズギルティ 「デリっち!」

 セラフィム 「俺に? なんだ?」

  セラフィムの問いに、頬を赤くしてもじもじしているギルティに痺れを切らしたのか、デリンジャーが口を開く。

  普通さっきまでクッキー作ってたんだから分かるものだが、彼は鈍鈍なので不思議そうな表情を浮かべている。

 Dサイズギルティ 「あの・・・こ、これ」

 セラフィム 「・・・これは」

  少し間が空いたが、最初から彼に渡すつもりでいたギルティは、意を決したように包みを渡す。

 Dサイズギルティ 「さ、さっき調理実習で作ったクッキー・・・その、食べて欲しいなと思って・・・」

 セラフィム 「・・・いいのか? 俺で・・・」

 Dサイズギルティ 「う、うん」

 デリンジャーアームズ 「(相変わらず鈍いなこいつは・・・)」

 サンドレオン 「(仕方ありません、セラフィムさんですから・・・)」

  デリンジャーとサンドレオンがヒソヒソと話している中、セラフィムは白い包みを開けていく。

  そして開けた瞬間、彼の表情が変わった。



 セラフィム 「・・・・・・」

 Dサイズギルティ 「・・・あの・・・」

  セラフィムの表情は驚きで満たされ、ギルティは恥ずかしそうに目を瞑る。

  彼等の異変に気付いたサンドレオンもまた、それを見てみる。

 サンドレオン 「・・・・・・く、黒?」

  思わず彼女が呟いた言葉通り、

  中に入っていたギルティ手作りのクッキーは、包まれていた白とは全く逆で真っ黒だった。

 Dサイズギルティ 「(ち、ちょっと、思いっきり怪しんでるよ?)」

 デリンジャーアームズ 「(当然だろう。あのような炭のような物を見せられては・・・)」

 Dサイズギルティ 「(デリっちが言ったんでしょ〜!?あの変なの入れろって・・・)」

  セラフィムとサンドレオンが、黒いクッキーに気を取られている隙に、

  ギルティはデリンジャーと何かヒソヒソと話している。

  どうやらこれもデリンジャーの作戦の一部らしく、作る際に何か混入したらしい。

 サンドレオン 「これ、どうしたんですか? ギルティさんは料理お得意ですし、イカ墨か何かでも?」

 セラフィム 「・・・なぜクッキーにイカ墨なんだ?」

 Dサイズギルティ 「い、いやそれはぁ・・・そのぉ・・・」

  当然ながら繰り出された質問に、困惑しているギルティ。

 デリンジャーアームズ 「大丈夫だ。いわば秘密の調味料と言ったところ、食っても命に別状は無い・・・

             むしろ美味いかも知れんぞ?」

  その様子を見て、怪しげに笑いながら言うデリンジャーにセラフィムはあからさまに疑いの表情を浮かべるが、

  ギルティの事を思うと断るわけにもいかないらしく、恐る恐る黒い物体を口に持っていく。

 セラフィム 「じゃあ・・・1つ頂く」

 Dサイズギルティ 「ど、どうぞ」

  それをギルティはドキドキしながら見ている。

  そして彼は1つそのまま口に入れる。

 セラフィム 「・・・・・・」

  沈黙が続く。

 Dサイズギルティ 「ど、どうかな?やっぱり美味しくない?」

 セラフィム 「・・・・・・」

  彼は一言も発しない。

  そして次の瞬間・・・、

 セラフィム 「・・・っ!!!」

  倒れた。

  もうそれは勢い良くその場で倒れこんだ。

  原因は・・・まぁ、明らかにデリンジャーが言った秘密の調味料とやらだろう・・・。

 Dサイズギルティ 「せ、セラフィムくーーん!!」

  ギルティは、もうこの世の絶望と言わんばかりに叫ぶ。

  その叫びは教室内に響き、クラス中の人の視線が一斉にギルティ達の方へ向けられる。

  そして、セラフィムは保健室へと運ばれた。

 Dサイズギルティ 「せ、セラフィム君・・・ち、ちょっとデリっち!」

 デリンジャーアームズ 「その呼び方はやめないか」

  セラフィムが運ばれるのを見ているギルティの、怒りの矛先は勿論デリンジャーに向けられる。

 Dサイズギルティ 「そんな事はどうでもいいの!あんたセラフィム君に何を食べさせたの!?」

 デリンジャーアームズ 「ふっ、何を分かりきった事を。お前のクッキーだろうが。

             もっとも、オレ特製の睡眠薬入りだがな」

 Dサイズギルティ 「え? す、すいみんやく?」

 デリンジャーアームズ 「そうだ。お前がクッキー生地に入れたのは睡眠薬だ。

             アレを体内に入れると、今なら放課後までグッスリだな」

  ギルティの問いに、高らかに誇らしげに語るデリンジャーに、ギルティは安堵の表情を浮かべる。

 Dサイズギルティ 「なんだぁ。あたしてっきり毒薬か何かかと・・・」

 デリンジャーアームズ 「殺してどうするのだ?それより、放課後ちゃんとやるのだぞ?

             オレがせっかく告白の場を提供してやったのだからな・・・」

 Dサイズギルティ 「え? こくは・・・っ」

  その時、ギルティの顔が一気にボンッと言った感じで赤くなる。

  それを楽しそうに見ているデリンジャーと、クラスメートが運ばれたと言うのにニコニコ顔のサンドレオンが居た。

 デリンジャーアームズ 「ふっふっふ・・・分かり易い奴よ」

 サンドレオン 「まぁまぁ、告白ですか♪それはそれは、頑張ってくださいギルティさん」

 Dサイズギルティ 「が、がんばりますです」

  ニッコリ笑って言うサンドレオンに、ギルティは顔を真っ赤にしながらも、口調も多少変だけど答えた。

  つーか、もうクラス中に聞こえてしまったんだけど・・・。

 デリンジャーアームズ (ククク・・・第二段階無事成功か・・・。後はこのバカ娘に頑張ってもらうしかないな・・・)

  そしてまた意味深な事を思っている奴が、約一名存在していた・・・。



  放課後の保健室。

  辺りは既に夕方になっており、保険室内もオレンジ色に染まり、僅かに開いた窓から涼しげな風が吹く。

  そんな保険室内のベッドに、セラフィムが気持ち良さそうに眠っている。

  そのセラフィムを見下ろす1人の影。

 デリンジャーアームズ 「・・・そろそろ起きる頃だな・・・」

  それはギルティ・・・ではなく、デリンジャーアームズだった。

  彼女は微笑みながら見下ろしていると、何を思ったのか不意にセラフィムに覆いかぶさり顔に近付いていく。

  っておい、何やってんですか!!?

 セラフィム 「・・・・・・何をやっている?」

 デリンジャーアームズ 「ふっ、起きたか」

  今まさにお互いの口が重なろうとした時、セラフィムが自身の危機を感知したのか目を覚ます。

  彼が目を覚ましたのを確認すると、デリンジャーは妖しくも楽しそうな笑いを浮かべ再び立ち上がる。

 セラフィム 「お前、何をしていた?」

 デリンジャーアームズ 「なに、貴様よく見ればなかなかのいい男なのでな・・・」

 セラフィム 「・・・・・・」

  セラフィムは少し照れているのか、少し顔を赤くなりながらも顔を背けた。

  そんなセラフィムを尻目に、デリンジャーはその場から立ち去ろうとする。

  あのタイミングで、セラフィムが目覚めなければどうなっていたのだろうか?

 セラフィム 「待て、何処に行くんだ?」

 デリンジャーアームズ 「なに、もうすぐヒロインの登場なのでな、サブキャラはさっさと退散しようと言うのだ」

 セラフィム 「・・・ヒロイン?」

 デリンジャーアームズ 「ククク・・・良い返事を期待するぞ」

 セラフィム 「・・・何の事だ?」

 デリンジャーアームズ 「そのうち分かる」

  はてな顔のセラフィムを余所に、デリンジャーはそう告げると少し笑いながら保健室を後にした。

  そしてデリンジャーと入れ替わるように、1人の少女が入ってくる。

 セラフィム 「ん? ギルティ・・・」

 Dサイズギルティ 「あ、セラフィム君、目が覚めたんだ」

  出てきたのはギルティだった。ギルティは嬉しくも心配そうな面持ちでセラフィムに駆け寄った。

 Dサイズギルティ 「ご、ごめんね・・・あたしのせいで・・・」

 セラフィム 「・・・・・・」

  ベッドの隣にある椅子に座ると、申し訳なさそうな面持ちでセラフィムに謝っている。

  セラフィムは外を見ながら黙っていたが、やがてギルティの顔を見てほんの僅かだが口元に笑顔を浮かべる。

 セラフィム 「・・・・・・今、事の原因がハッキリした。どうせアイツの仕業だろう?ギルティが気にする事は無い・・・」

 Dサイズギルティ 「・・・セラフィム君・・・ありがと」

  少し俯き落ち込み気味だったギルティの表情は、少しばかり明るくなった。

  それを無表情ながら、安心したようにセラフィムは見ていた。

 Dサイズギルティ 「セラフィム君って優しいよね?」

 セラフィム 「・・・そうか?」

 Dサイズギルティ 「いつもはさ、なんかブス〜ってしてるけど・・・今みたく優しい事言ってくれるんだもん」

 セラフィム 「・・・・・・」

  ギルティの言う事に照れが入ったらしく、つい顔を背けてしまう。

  本人にとっては自覚は無いのだが、誰かに改めて言われるとやはり照れてしまうのが人の性。

  その光景を、保健室の扉を少し開け見ていた影が2つ。

 デリンジャーアームズ 「クククク・・・なかなか良い雰囲気ではないか・・・」

 サンドレオン 「愛とは良いですねぇ・・・・・・少し妬けちゃいます」

 デリンジャーアームズ 「フッ・・・ここは我慢だサンド嬢。直にサンド嬢にも、いい男の1人や2人・・・」

 サンドレオン 「まぁまぁ♪ありがとうございます」

  先程居たデリンジャーと、いつの間にか居るサンドレオンだ。

  2人はギルティとセラフィムの光景を、実に楽しそうに覗いている。

  そんな2人の存在など知る由も無いセラフィムは、

  気持ちを落ち着かせるかのように深呼吸を1回、再びギルティの方を向く。



 セラフィム 「そ、それで・・・どうしたんだ?もう放課後だろう?」

 Dサイズギルティ 「え?ぁ・・・うん、これ・・・」

  ギルティはイソイソとかばんの中から、小さな包みを取り出した。

  その包みは昼間の仕様とまったく同じで、セラフィムも昼間の出来事を思い出し、僅かに驚きの表情を浮かべる。

 セラフィム 「そ、それは・・・?」

 Dサイズギルティ 「昼間あんなの食べさせちゃったから・・・作り直したの」

  そう言いながら包みを開けていくと、そこには昼間の真っ黒ではなく、美味しそうに小麦色に焼けているクッキー。

 Dサイズギルティ 「その・・・食べてもらえるかな・・・?」

 セラフィム 「・・・・・・断る理由は見当たらないな」

  恐る恐ると言った様子で訊ねるギルティに対し、セラフィムは静かにそう言ってクッキーを1個口に入れる。

 Dサイズギルティ 「どお?今度はちゃんと作ったんだけど・・・」

 セラフィム 「・・・うまい」

 Dサイズギルティ 「ほんとに!?やった♪じゃあ、これ全部あげるね。元々その為に作ったんだし」

 セラフィム 「あ、あぁ・・・ありがとう」

  セラフィムの感想に、完全にテンションが回復したギルティ。

  彼女は大いに喜ぶと、満面の笑顔で残りのクッキーを渡す。

  しかし、甘い物が少し苦手なセラフィムは微妙な表情。

 セラフィム 「・・・1つ聞きたいんだけど・・・」

 Dサイズギルティ 「なに?」

  クッキーを受け取ったセラフィムはある事に気付く。

 セラフィム 「何でコレを俺に?」

 Dサイズギルティ 「え?何でって・・・それはぁ・・・・・・その、なんと言うか・・・」

 セラフィム 「ん? どうした?」

  セラフィムの何気ない問いに、夕日のように顔を赤くしながら口篭るギルティを見て

  セラフィムは不思議そうな表情を浮かべた。

 Dサイズギルティ 「・・・そ、そのぉ・・・あたしぃは・・・・・・せ、セラフィム君が・・・す・・・す、す・・・」

 セラフィム 「す?」

 Dサイズギルティ 「す・・・す〜・・・・・・スキ・・・だから・・・」

 セラフィム 「ん?最後の方がよく聞こえないが・・・」

 Dサイズギルティ 「だ、だから・・・」

  『好き』・・・そのフレーズのみ言えずにボソボソっと呟いているギルティに対し、

  セラフィムは分かってるのか分かってないのか、やたらにそのフレーズのみ問い掛ける。

  その度に、ギルティの顔はドンドン赤くなっていった。

  ・・・リンゴみたい・・・。

 デリンジャーアームズ 「・・・・・・あそこまで鈍いと病気なのではないか?」

 サンドレオン 「仕方ありません・・・セラフィムさんですから」

  そしてその光景を、当然この2人も見ているわけで。

  セラフィムの鈍さに流石のデリンジャーも少し呆れている。

 デリンジャーアームズ 「うむ・・・まぁ奴だからな・・・それより見ろぉ、あのギルティの顔の色を・・・ククククク」

 サンドレオン 「太陽と同化してますね」

  2人は窓ガラスに映っているギルティの様子を楽しそうに眺めている。



 セラフィム 「すまん・・・もう一度言ってくれ・・・」

  そんな事等やはり知る由も無いセラフィムはギルティに質問攻め。

 Dサイズギルティ 「だから!あたしはセラフィム君の事が好きなの!

           好きな人の為に作った物を好きな人に食べてもらうのは当然だもん!!・・・・・・ぁ・・・」

 セラフィム 「・・・・・・」

  この瞬間2人は固まった。

  微妙に重い空気が保健室中に漂う。

 Dサイズギルティ (い、言っちゃった〜〜! ど、ど〜しよ〜〜!)

  このまま停止してしまうのではないかと言うくらい、ギルティの胸はドッキドキである。

  今、彼女の心理の中は2つある。

  1つは、思わず流れで言ってしまい、絶妙に告白の雰囲気ではなかったと言う微妙な後悔と、

  とりあえず気持ちを伝えられたと言う微弱な達成感。

  そしてもう1つは、もしかしたらダメかもしれないという恐れ。

 セラフィム 「・・・・・・」

  セラフィムは黙って硬直しているが・・・顔が赤い。

 デリンジャーアームズ 「クフフフ・・・遂に言ったぞぉ」

 サンドレオン 「ギルティさんらしいです。セラフィムさんはどんな返事をするのでしょうかぁ?ドキドキです」

  この光景も勿論この2人は見ていた。

  しかも何処から持ち出したのか、その手にはポップコーンが・・・・・・映画じゃないんだから。

 Dサイズギルティ 「・・・・・・」

 セラフィム 「・・・・・・」

 Dサイズギルティ 「・・・あのぉ?」

 セラフィム 「・・・な、なんだ?」

 Dサイズギルティ 「返事が聞きたいなぁって思ったりしてるんだけどぉ」

 セラフィム 「あ、あぁ」

  重い空気に業を煮やしたギルティは、上目遣いながら恐る恐ると言った様子でセラフィムに問い掛ける。

  その問いに、ようやく拘束が解除されたセラフィムは静かに口を開く。

 セラフィム 「・・・俺は・・・・・・お前のクッキーが好きだ・・・」

 Dサイズギルティ 「ぇ?」

 セラフィム 「・・・だからその・・・・・・これからも俺の為に作って欲しい」

 Dサイズギルティ 「それってぇ・・・」

 セラフィム 「お、俺も・・・ギルティと同じ気持ち・・・だ」

  セラフィムは顔を反らしながらも静かに自らの気持ちを伝えている。

  少し不器用ながら、その気持ちはギルティにも伝わったようで・・・、

 Dサイズギルティ 「・・・そ、そっかぁ・・・えへへ♪嬉しいな」

  瞳に少し涙を浮かべながらも嬉しそうに笑っている。

  きっと嬉し泣きなのだろう。

 Dサイズギルティ 「だ、だったら、今度また作ってあげるね?」

 セラフィム 「あぁ・・・頼む」

  そしてセラフィムもまた静かに笑みを浮かべる。

  今まで重かった保険室内の空気は、なんだかほんわかと幸せな空気になっていた。

 セラフィム 「・・・・・・ギルティ?」

 Dサイズギルティ 「え?なに・・・わきゃっ!」

  突如としてセラフィムはギルティを抱き寄せた。

  ギルティは驚きの声を上げるが、まぁ・・・いきなり抱きつかれては無理もない。

 Dサイズギルティ 「ど、ど、どうしたの?」

 セラフィム 「・・・・・・」

  そしてギルティを解放し、見つめ合う。

  頬を赤らめながら見つめ合う2人・・・。

  自然とセラフィムとギルティの顔が互いに近付いていく。

  そして、2人の唇が重なろうとした・・・その時・・・、



 デリンジャーアームズ 「フハハハハハハハハハハハ!!そこまでだっ!!」

 Dサイズギルティ 「ひゃぅっ!!」

 セラフィム 「なっ!!」

  さっきまで覗いてたデリンジャーに妨害される。

  その瞬間、セラフィムとギルティは音速の速さで離れた。

  そんな2人を絶妙に妖しい笑みを浮かべ、軽く拍手をしながらデリンジャーは2人に近付いていく。

 デリンジャーアームズ 「一先ずはおめでとう。ククク・・・オレもセッティングした甲斐があると言うものだ」

 Dサイズギルティ 「あ、ありがとう」

 セラフィム 「・・・指摘する箇所がまず違うぞギルティ・・・」

 Dサイズギルティ 「え?あ、そ、そうだっ!ちょっとデリっち!何で此処にいるのよ!!?」

 サンドレオン 「私も居ますよ?」

 Dサイズギルティ 「れ、レオンまで・・・」

 セラフィム 「・・・一体何時から居たんだ・・・?あ、いやまぁ・・・大体見当は付くが・・・」

  腕を組みながら堂々と構えているデリンジャーと、いつも通りニコニコ顔のサンドレオンにセラフィムは静かに問う。

 デリンジャーアームズ 「そうだなぁ・・・そこのバカ娘が、『ご、ごめんね・・・あたしのせいで・・・』と言った辺りか・・・。

             なぁサンド嬢よ?」

 サンドレオン 「あ、私はギルティさんが、『・・・セラフィム君・・・ありがと』と仰っていたところからです」

 セラフィム 「要は一部始終見ていたのか」

  ニッコリ顔と自信満々顔で語るサンドレオンとデリンジャーに、ため息を吐き呆れ顔になるセラフィム。

  ギルティに至っては、今まで以上に顔を真っ赤にし固まっている。

 デリンジャーアームズ 「・・・おい、帰って来いギルティ」

 Dサイズギルティ 「・・・・・・」

 デリンジャーアームズ 「返事がない・・・ただの屍のようだな・・・フフフフフ」

 サンドレオン 「セラフィムさん?もう身体は宜しいのですか?」

 セラフィム 「・・・あぁ・・・」

 デリンジャーアームズ 「ならば帰るぞ。そろそろ時間も時間だ。

             ほれ、心優しいオレがお前のかばんを持ってきた・・・(奴も来る頃だしな・・・)」

  相変わらずのほんわかニッコリ顔で訊ねるサンドレオンに、セラフィムは静かに答えると、

  デリンジャーはセラフィムのかばんを放り投げる。

  セラフィムはかばんを受け取ると、ギルティを呼び戻し立ち上がる。

 セラフィム 「・・・大丈夫か?」

 Dサイズギルティ 「う、うん・・・。あ!ちょっとデリっち、この事バラさないでよ!!」

 デリンジャーアームズ 「んふふ・・・わかっている。あとその呼び方はやめないか・・・(もうバレテいるがな・・・バカ娘)」

  ようやく何処かの世界から帰ってきたギルティは、デリンジャーを指差しキッと睨む。

  まぁ、デリンジャーは軽くあしらったみたいだけど。

  そして4人は足早に保健室を後にした・・・。

 デリンジャーアームズ 「そうだ、おい無口男にバカ娘よ。先程の続きをやるのであれば、室内にしておけよ?

             野外は誰かに見つかる可能性があるからな・・・クッ・・・クククク・・・

             あと避妊はしなければならないぞ?」

 Dサイズギルティ 「ひに・・・っ!!」

 セラフィム 「き、貴様っ!!」

 サンドレオン 「デリンジャーさん直球過ぎますよ?」

 デリンジャーアームズ 「プフーー!!くくくくく・・・わ、悪かった・・・ぷっ!!」

  デリンジャーの直球過ぎる助言にセラフィムとギルティは再び赤くなる。

  ギルティは再び何処かの世界へと旅立ち、セラフィムは珍しく感情を激しく表に出す・・・まぁ、無理もない。

  デリンジャーは2人のリアクションに思わず噴き出し、

  サンドレオンは揺るぐことなくニコニコ顔、セラフィムとギルティのカップルは顔を真っ赤にし俯きながら歩いている。

 デリンジャーアームズ (ここまでくれば成功したも同然・・・。後は奴が来れば・・・)

  そして、またもや意味ありげな事を思っているデリンジャーであった・・・。



  放課後のグラウンド。

  保健室でのゴタゴタを終え、2人仲良く手を繋ぎながら歩いているセラフィムとギルティ。

 Dサイズギルティ 「もう、何が避妊よ。気が早いよ、デリっちはぁ」

 デリンジャーアームズ 「その呼び方はやめないか。

             それはお前達バカップルが保健室であんな事しようとしたからではないか」

 セラフィム 「・・・す、すまん」

 Dサイズギルティ 「あぁいいんだよ、セラフィム君が謝らなくて。悪いのはデリっちだから」

 デリンジャーアームズ 「告白の場をセッティングしてやったというのに、その言い草はなかなか心に傷が出来るぞ」

 サンドレオン 「あのぉ・・・気が早いという事は・・・近々お2人は、保健室での続きをなさるのですか?」

 Dサイズギルティ 「そ、それは・・・っ」

 セラフィム 「・・・」

  自爆・・・そんな言葉がギルティの脳裏を過ぎった事だろう。

  空気を読んでか読まずか、サンドレオンの素朴な問いに赤い石と化すカップル。

  それをデリンジャーは大いに高笑いし、サンドレオンもクスクス笑っている。

 サンドレオン 「フフ・・・お二人とも面白いですね」

 デリンジャーアームズ 「あぁ、まったくだ」

  その時、4人の後ろから何やら地震にも似た地響きが。

  それはドンドンギルティ達に近付いて行き・・・、

 ??? 「こぉぉーーらぁぁーーですぅーー!!」

 Dサイズギルティ 「へ?わきゃーー!!」

 セラフィム 「ギルティ!お前は・・・」

 デリンジャーアームズ 「フッ・・・現れたか」

 サンドレオン 「貴女は・・・」

 Dサイズギルティ 「いってて〜!な、何すんのよ、ティエンロンっ!!」

 ティエンロン 「それはこっちの台詞ですっ!!」

  ギルティに体当たりを炸裂させる少女が1人。

  セラフィムとサンドレオンは無表情とニコニコ顔ながらそれぞれの驚きの表情を浮かべ、

  デリンジャーは待っていたと言わんばかりの表情を浮かべる。

  おしりを摩りながら少女に怒鳴り口調で言うギルティを指差して、

  明らかな敵対の目で見る少女の名はティエンロンガンダム。

  ちょっと口調が変なギルティ達と1年下の高等部1年生の女の子。

 ティエンロン 「ギルちゃん先輩!ティエはギルちゃん先輩を見損なったです!

        よくもティエのフィム先輩と手なんか握っちゃってくれてますですね!

        浮気?不倫?あんたは一体何なんだー!」

 Dサイズギルティ 「いきなり突き飛ばしといて何訳分かんない事言ってんのよ!

           いい?セラフィム君とアタシは正式なカップルで、お互いラブラブで両想いなの!

           そもそもセラフィム君はティエンロンの物じゃないわよっ!」

 セラフィム 「・・・お、おいギルティ・・・」

  そして始まったギルティとティエンロンの口論。

  セラフィムは困惑の表情を浮かべながら2人を何とか宥めようとしている。

  ちなみにギルちゃん先輩というのは、ティエンロンだけがギルティをそう呼んでいる呼び名である。

 ティエンロン 「嘘です!ティエはそんなの信じないです!

        だったらいつ正式カップルになったですか?いつ何時何分?OZが何回潰れた時です?」

 デリンジャーアームズ 「うむ・・・今日の17時36分42秒の時だな。ティエンロンよ、OZとは何だ?」

 ティエンロン 「あ、それは物の弾みと言うやつです。とにかくティエはそんな嘘信じませんです!」

 セラフィム 「・・・・・・」



  セラフィムの止めも空しく、ギルティとティエンロンの口論は続いていた。

  どうにも止まらない2人に、セラフィムは既に諦めている。

 デリンジャーアームズ 「フッフッフッフッフ・・・やはりこうなったか・・・予想通りだな」

 サンドレオン 「あらまぁ、元気がいいのは良いことですねぇ」

  そして残りの2人は笑ってる、相変わらず空気が読めているんだかよく分からない。

 Dサイズギルティ 「だったらセラフィム君本人に聞いてみたらどうよ!?」

 ティエンロン 「いいでしょう。フィム先輩?ギルちゃん先輩が言っている事なんて嘘ですよね?

        先輩はティエの物ですよね?」

 セラフィム 「いやギルティの方が真実だ。そして俺はお前のじゃない」

 ティエンロン 「そ、そんなーーー!!!」

  即答で答えたセラフィムにティエンロンは大ショック。

  その場に四つんばいになり崩れ去る。

 Dサイズギルティ 「ふっふ〜んだ、これでわかったかね?」

  そしてギルティは大勝利と言わんばかりに笑って崩れ去っているティエンロンを見下ろしている。

 ティエンロン 「・・・・・・」

  ティエンロンは黙っている。

  しかし、ここで終わらないのがティエンロンガンダムである。

 ティエンロン 「・・・・・・フ・・・フフフフフフ・・・そうですか・・・そういうことですか・・・・・・なるほどです」

  なにやら不気味な笑いが聞こえるんですけど・・・。

 Dサイズギルティ 「な、なに笑ってんの?」

 ティエンロン 「ギルちゃん先輩っ!!」

 Dサイズギルティ 「な、なによ?」

 ティエンロン 「貴女って人はなんて小汚い!!

        いくらフィム先輩を自分の物にしたいからって、洗脳なんて悪行を!!」

 Dサイズギルティ 「・・・・・・・・・は?」

  微妙に眼に涙を浮かべて力強く訴えるティエンロンに、ギルティを含めセラフィムも間の抜けた声を出す。

  どうやらティエンロンは完全に間違った解釈をしてしまったらしい。

 デリンジャーアームズ 「クククク・・・流石だな・・・」

 サンドレオン 「ギルティさんはセラフィムさんを洗脳していたのですか?」

 デリンジャーアームズ 「クククク・・・さぁな」

  デリンジャーが楽しそうに笑い、サンドレオンが天然を炸裂させる中、ティエンロンとギルティの口論が再び勃発。

  セラフィムは再び2人を宥めようと努力するが無駄である。

 ??? 「これは何の騒ぎだ?」

  そんな中、デリンジャーとサンドレオンに話しかける1人の影・・・。



 デリンジャーアームズ 「ルシフェル先輩か・・・」

 ルシフェル 「よう、デリンジャーにサンドレオン」

 サンドレオン 「相変わらずお綺麗ですね」

 ルシフェル 「男に対する言葉じゃないな、それ・・・つか、やめてくれ」

  サンドレオンにすかさずツッコミを入れたのはガンダムルシフェル。

  高等部3年生で、ギルティ一行の先輩である。

 デリンジャーアームズ 「綺麗なものは綺麗なのだから仕方ないのではないですか?ククククク」

 ルシフェル 「俺だって好きでこんな女みたいな顔になったわけじゃないんだよコラ」

 サンドレオン 「どうすればルシフェル先輩のようにお綺麗になれるのでしょうか・・・」

 ルシフェル 「話聞いてないだろお前…」

  ルシフェルの意見など微塵にも聞いていないサンドレオンの問いに、ルシフェルはガックリと肩を下ろす。

  ルシフェルは、性別や口調こそ男に分類されるが、身体つきや顔は完全に女であり、

  正直言ってしまえば相当な美人顔である。

 ルシフェル 「・・・で?あの2人は何やってんだ?」

  そして未だ口論を続けているティエンロンとギルティを指差し問う。

 デリンジャーアームズ 「フフ・・・まぁ、ちょっとした物の取り合いですよ」

 サンドレオン 「元気で良いですよねぇ」

 ルシフェル 「セラフィムはあからさまに困っているように見えるんだが・・・」

 デリンジャーアームズ 「気のせいです」

  ギルティとティエンロンがギャーギャー騒ぐ真ん中で必死に宥めているセラフィム。

  気のせいではないと思うが・・・。

 Dサイズギルティ&ティエンロン 「「ぐぬぬぬぬ・・・・・・!!」」

 セラフィム 「2人ともいい加減に・・・」

 ティエンロン 「こうなったら今此処で決着を・・・っ!!」

  そう言い放ちティエンロンが構えたその時、

  ティエンロンは何かに気付いたように制服のポケットに手を突っ込む。

  取り出したのは携帯。震えているのを見ると誰かからの着信、もしくはメールのようだ。

 ティエンロン 「あ、チーフからです。・・・・・・もしもし?どうしたんですか?

        ・・・・・・えぇ!?パンダが海鼠をっ!わかりましたです、今すぐに行くです!!」

 どうやら着信らしく、誰かと会話しているようだ。

 セラフィム 「・・・パンダ?」

 Dサイズギルティ 「なまこぉ?」

  そしてよく分からない会話内容に、

  さっきまで殺気全開でいたギルティと宥めていたセラフィムは困惑の表情を浮かべる。

 ティエンロン 「と言うわけでティエはバイト先の危機を最優先にするです。

        せいぜいその間フィム先輩の恋人気分を味わっていやがれです!!

        決着はいずれ着けるです、この貧乳!!」

 Dサイズギルティ 「ひんにゅ・・・っ!!!」

  ギルティに指を刺し高らかに叫ぶティエンロンは、そのままもの凄い速さでその場を後にした。

  貧乳というギルティにとって禁断の言葉を言われたギルティは、怒り通り越しその場で固まる。

 セラフィム 「・・・・・・大きさなんて俺は気にしないから・・・」

 Dサイズギルティ 「せらふぃむく〜〜ん!!」

  そしてセラフィムの慰めに抱きつく。

  セラフィムは優しくギルティの頭を撫でていた。



 ルシフェル 「・・・・・・よく分からないんだが」

  その一部始終をルシフェルは困惑の表情で見ている。

 デリンジャーアームズ 「まぁ、簡単に言えば恋のライバルってやつです」

 ルシフェル 「だけどあいつ等付き合い始めたんだろ?」

 デリンジャーアームズ 「ククク、この世には一夫多妻制という制度が」

 ルシフェル 「この国にはそんな制度は無い」

 サンドレオン 「ティエンロンさんのアルバイト先にはパンダがいるのでしょうか?見てみたいです」

 ルシフェル 「サンドレオンが注目したのそこなんだな」

  サンドレオンの場の空気が微妙に読めていない天然発言に、軽くため息を吐くルシフェル。

 デリンジャーアームズ 「さてと・・・あのバカップルはあのままにしておくとして・・・行くとするか」

  そんな中、未だ抱き合ってるセラフィムとギルティを見て、不敵に笑いながらデリンジャーは呟く。

 デリンジャーアームズ 「サンド嬢よ。お前でよければ久々にサンド嬢の入れたアイスティーが飲みたいのだが?」

 サンドレオン 「まぁ、嬉しいです、喜んで。ルシフェル先輩もいかがですか?」

 ルシフェル 「ん?あぁそうだなぁ・・・あぁ、せっかくだから頂こうかな」

 サンドレオン 「では参りましょう?」

 デリンジャーアームズ 「あぁ」

  そして3人は歩き出した。

  その時、セラフィムがそれに気付いたらしくデリンジャーに声を掛ける。

 セラフィム 「・・・・・・一応言っておく・・・ありがとう・・・」

 Dサイズギルティ 「・・・」

  依然貧の乳のショックから立ち直れてないギルティの頭を撫でながら、

  セラフィムは不器用にデリンジャーに礼を言う。

  デリンジャーは横目で見ながら少し黙るが、口元に笑みを浮かべた。

 デリンジャーアームズ 「・・・フッ、気にする事は無い。オレはただきっかけを作ったに過ぎん」

 セラフィム 「・・・・・・」

 デリンジャーアームズ 「それよりこれからは大変だなぁ?」

 セラフィム 「は?」

 デリンジャーアームズ 「恐らく暇さえあればティエンロンはギルティに立ち向かうだろう。ククク・・・せいぜい守る事だ」

 セラフィム 「お前・・・それが目的か」

 デリンジャーアームズ 「さぁな」

  セラフィムはここに来てようやくデリンジャーの目的に気付いた。

  要はギルティとセラフィムが付き合うことにより、セラフィムゾッコンのティエンロンが当然の如く乱入。

  そしてギルティとティエンロンのセラフィム争奪対決が繰り広げられる、しかも多分毎日のように。

  それが見たかったのだろう。

 ルシフェル 「何だかよくわかんないけど・・・まぁ愛を確かめるものだとでも思ってがんばれよ」

 セラフィム 「・・・はい・・・」

  内容はよくつかめないものの、とりあえずデリンジャーの仕業と言う事だけは理解したルシフェルは

  諦めろという様子でセラフィムに告げる。

  セラフィムは無表情ながら微妙に力の無い返事をする。

 デリンジャーアームズ 「クククク・・・では行くとしよう」

 サンドレオン 「そうですね。セラフィムさんは・・・・・・お誘いしないほうが宜しいですね」

 ルシフェル 「じゃあな、ガンバレよ」

 セラフィム 「・・・・・・また明日」

 デリンジャーアームズ 「期待しているぞ?あと、そこの何時までも泣いているバカ娘よ。

             いい加減これ以上成長しない、どうしようもない貧乳の事ごときの事でくよくよするんじゃない。

             それはお前の宿命だ、諦めろ」

 Dサイズギルティ 「貧乳言うなっ!!」

  ギルティは涙目でキッとデリンジャーを睨みつけながら怒鳴り口調で叫ぶ。

  そして再びセラフィムの胸に顔を埋める。

 デリンジャーアームズ 「運命に抗うか・・・まぁ、無駄だと思うがな」

  デリンジャーはそう言い残し、ルシフェルとサンドレオンと共にセラフィム達と別れる。

  やれやれと言った様子のルシフェル、絶える事の無い満面の笑顔のサンドレオン、

  そしてデリンジャーはそんな2人の中央で高らかに高笑いをしていた。

 セラフィム 「・・・・・・」

  その後姿をセラフィムはギルティの頭を撫でながら複雑そうな表情を浮かべている。

  彼は悟っていた・・・この出来事が開戦になったと言う事を。

  そして、翌日からギルティとティエンロンのセラフィム争奪バトルは勃発する・・・。

  そう、全てはデリンジャーの思惑通りになり、そのバトルをデリンジャーは実に楽しそうに観戦しているのでした。

  ・・・・・・一応めでたしと言う事で・・・。



  お ・ ま ・ け


  料理部部室にて。

 サンドレオン 「まぁまぁまぁ♪よくお似合いですよ、ルシフェル先輩♪」

 ルシフェル 「・・・」

 Dサイズギルティ 「し、洒落になんないッス!」

 ティエンロン 「部長素敵ですぅ!」

 セラフィム 「・・・・・・(赤面)」

 ティエンロン 「あ、フィム先輩、浮気は厳禁です!」

 Dサイズギルティ 「あんた自体が浮気なのよ!!」

 ティエンロン 「何ですと!!」

 セラフィム 「・・・やめろ2人とも」

 デリンジャーアームズ 「クククククク・・・しかし本当に似合ってますよ?そのメイド服」

  パシャっ!(写真を撮る音)

 ルシフェル 「写真撮るな・・・そしてこの縄を解け」

  パシャッ!パシャッ!パシャッ!(連続で撮る音)

 デリンジャーアームズ「う〜む実に絵になる。次はルシフェル先輩の女体化本という手も・・・。

            ・・・サンド嬢×ルシフェル先輩か・・・ククククク・・・」

 ルシフェル 「ちょっと待て、本出す気かお前は!!しかも口調からして男性向け!!?」

 サンドレオン 「まぁまぁ、私を描いて頂けるのですか?それより・・・次はこの巫女服を・・・」

 デリンジャーアームズ 「そこの2人!着替えの準備だ!!」

 Dサイズギルティ&ティエンロン 「イエッサーー!!♪」

 ルシフェル 「ってちょ!待て・・・あ、あぁぁ〜〜!!」

 セラフィム 「・・・・・・南無・・・」



2006/05/22 23:15:05  >>328氏
2006/05/22 23:16:16  >>329氏
2006/05/27 03:15:13  >>345氏
2006/05/27 03:16:41  >>346氏
2006/06/24 01:39:47  >>391氏
2006/06/24 01:40:47  >>392氏
2006/06/24 01:41:36  >>393氏
2006/06/24 01:42:48  >>394氏
2006/06/30 03:29:55  >>399氏
2006/06/30 03:31:03  >>400氏
2006/06/30 03:32:10  >>401氏
2006/06/30 03:34:21  >>402氏
2006/07/01 03:04:19  >>406氏

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