MS擬人化で萌えよう まとめサイト(仮)


● 坂の途中で ●


  彼はその予告通りそこに立っていた。(※本スレ4校目>>264〜>>268参照)

  はるかかなたに砂塵が舞い上がるのが見える。

  そして聞こえてくるあの声・・・。


 268 「・・・来る・・・その時が」

 ゼーゴック 「うわぁ!!!遅刻遅刻ぅー!!」


  ドオオォォオオオオン


  砂塵を視認してからわずか数秒。

  目で追うのも困難な速度で走り抜けていくゼーゴックに彼は跳ね飛ばされた。


  痛みはなかった。

  ファーストコンタクトの衝撃で即座に気を失ったからである。

  その時奇跡が起こった・・・。

  跳ね飛ばされ宙を飛ぶ彼の下に、

  上り坂で減速したゼーゴックがちょうど入り込む形になったのだ。


  ひゅるるるるる・・・どおおおおおおおん


 ゼーゴック 「ぎゃん!」


  ゼーゴックの柔軟で弾力に富む体がクッションになり、彼は軟着陸に成功した。


 ゼーゴック 「あーびっくりしたぁ。何?空から人が降ってきたの?」


  痛いとかじゃなく、びっくりしただけなのが彼女の素晴らしい所である。

  彼女は近づいて、気絶している彼の顔を覗き込んでみた。


 ゼーゴック 「・・・268?」


  彼の顔には“268”という数字だけが浮かんでいる。


 ゼーゴック 「人間じゃないのかなぁ?」


  もう一度彼をよく観察する。

  頭があって胴体があって手足がある。手の指は10本だ。

  頭部には頭髪があるし、耳もある。でも顔面には数字だけだ。


 ゼーゴック 「・・・空から落ちてきたし、天使かなぁ?」


  268番目の天使?一旦思いついたら、どうもそうとしか思えない。

  彼女は彼に直接尋ねてみることにした。


 ゼーゴック 「おーい、大丈夫ですかぁ?」


  肩を軽く叩いて彼の意識を呼び起こそうとする。

  その刺激に彼も気が付き声のする方に顔を向けた。


 ゼーゴック 「もしもーし?天使さんですかぁー?」


  真顔で彼に尋ねる。


 268 「え?い、いや、人間ですけど・・・」

 ゼーゴック 「え?人間なの?」

 268 「普通の人間ですよ」

 ゼーゴック 「ふ、ふーん・・・そうなんですかぁ(普通!?)わたし、空から降ってきたから天使かと思っちゃった」

 268 「ええ、人間なんです。すいません、お騒がせして」



 ゼーゴック 「なんで空から降ってきたの?」

 268 「え・・・ま、まぁ、色々ありまして」

 ゼーゴック (訳を言わない・・・怪しい・・・)


  自分がはねたとは全く気付いていないゼーゴックであった。


 268 「そ、それじゃあ僕はこれで・・・」


  立ち上がろうとする268氏、その時彼の全身に激痛が走った。


 268 「ぐわぁあああ!!」

 ゼーゴック 「きゃあ!!!大丈夫ですか!!?」


  あまりの痛みにそのまま地面に倒れ伏す268氏。

  軟着陸したとはいえ、その前に数百メートルほどぶっ飛ばされているのだから、当然といえば当然である。

  若干麻痺していた感覚が、話してる間に戻ってきたのであろう。


 268 「ぐがががが・・・」

 ゼーゴック 「どうしたの?どこか痛いの?」

 268 「ぜ、全身が・・・ちょっと交通事故みたいなのに巻き込まれて・・・」

 ゼーゴック 「え!?たいへん!まっててね、今手当てしてくれる所に連れて行ってあげるから!

        (みたいなのってなんだろう・・・)」


  ゼーゴックは言うや268氏を背中に背負うと、

  今来た道を猛スピードで戻り始めた。

  そして数分後・・・。


 ゼーゴック 「お義父さーん!ちょっと診てあげてくださーい!!!」


  ゼーゴックはヅダ家に彼を連れてきていた。


 ヅダ父 「おや、嫁御、どうしたのかね?」

 ゼーゴック 「朝学校行く途中、この人が空から降ってきて・・・」

 ヅダ父 「ほお。空から。天使かな?」

 ゼーゴック 「(お義父さんもそう思います?わたしもあやしいと・・・)」

 ヅダ父 「(うむ、とりあえず丁寧に接して、隙を見てカマをかけてみよう)」

 ゼーゴック 「それはともかく、交通事故“みたいなの”に巻き込まれて、全身痛いんですって」

 ヅダ父 「なるほど。じゃあ診てみようか」

 ゼーゴック 「診てもらえます?よかったぁ。

        ラビアンローズ先生の所と迷ったんだけど、骨接ぎならお義父さんの方が得意かなぁって思って」

 ヅダ父 「ふむふむ。打撲がひどいな。それに脱臼も・・・ふん!」


  ヅダ父がいきなり268氏の腕をひねる。ゴキっという音が室内に鳴り響いた。


 268 「うぎゃー!!!」

 ヅダ父 「よし、これで肘は入ったよ。肩とか色々やらんといかんなぁ」

 268 「ま、まだ続くの!?」

 ヅダ父 「時間かかるから嫁御は学校行っておいで。後はやっておくから」

 ゼーゴック 「はーい。じゃあまた後でね、天使さん」

 268 「え!?ちょっと待って!置いていかないで!び、病院に・・・」

 ヅダ父 「はいはい、緊張しないでね」


  ごりぃ!


 268 「ぐぎゃー!!!」


  その日の午前中、ヅダ家には268氏の叫び声が何度も響き渡ったという。


  坂の途中で ―終―



2006/09/26 10:13:36  >>276氏
2006/09/26 10:15:13  >>277氏

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