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● ガンダムルシフェルの災難 ●【4校目分】


※3校目『ガンダムルシフェルの災難』【3校目分】より、続き。


  俺は、夢を見ていた。ここ最近同じような夢しか見ない。

  周りは真っ白で、俺は立ち尽くしているだけ。

  ただ・・・・・・目の前に黒髪の女の子がしゃがんで泣いているのを除いて。

  目の前の少女は幼稚園くらいの年齢で、泣いて俯いて顔こそ見えないがどこかで見たような、そんな女の子。

  ただ思い出せない。この娘が誰なのか。何処で会ったのか。しかし確かに頭では覚えている。

  そんな女の子は、ただ俺の目の前で泣いているだけ。

  顔をこちらに向けるわけでもなく、まるで目の前の俺は存在していないかのようにただ泣いている。

  それを俺はただ見ているだけだった。

  手を差し伸べようとするが、何故か体全体がそれを拒絶するかのように動かない。

  そしてそれはずっと続いていた。

  しかしこれは夢であり、いつかは覚める。やがて・・・・・・、


  ――――おかあさん―――おとうさん―――


  今まで泣いていた女の子が唯一口にするこの台詞を聞いた瞬間、この光景はプツリと消えた。



 ルシフェル 「・・・・・・」

  天井が見える。耳にはスズメがチュンチュン鳴く声が聞こえる。

  また見てしまった。そんなことを思いながらも起き上がる。

 ルシフェル 「ん?」

  すると、俺はある異変に気づいた。俺が寝ているベッドの上に、俺以外の人型の盛り上がりがある。

 ルシフェル 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっと」

  とりあえずたっぷり1分ほど考えた。

  そしてこんなことする人物が約一名、俺の脳裏に浮かんだので、ひとまず布団を捲ってみた。

 ギルティカスタム 「スゥ、スゥ・・・」

 ルシフェル 「やっぱり」

  俺の予想通り、そこにパジャマが少し乱れて気持ち良さそうに寝ているギルティカスタムの姿。

  こうして見ると普通に可愛いが、状況が状況だ。

 ルシフェル 「おい、起きろ」

 ギルティカスタム 「ウ・・・ん・・・」

 ルシフェル 「起きろって」

  肩を揺すってみるが、一向に起きようとしない。それどころか、

 ギルティカスタム 「ン・・・・・・さむい」

 ルシフェル 「おい」

  寒いのか、俺に抱きついてきた。

  俺は抱き枕代わりにされているらしく、ギルティカスタムは一層深い眠りに入った様子。

  しかも、何だかどんどん絞め付けられて・・・、

 ルシフェル 「い、痛っ!痛い痛い痛い!!」

 ギルティカスタム 「ウ〜ん・・・・・・さむい・・・・・・」

 ルシフェル 「や、やめっ!放せ放せ!痛ぇっ!!」

  ものすごい力が俺の下腹部を絞め付けて、朝から激しい痛みが走った。

  このままじゃ命さえ危うくなっているので俺は激しく抵抗するが、

  当の本人はまったく起きないどころかますます絞める。

 ギルティカスタム 「るしふぇ・・・・・・あのことばらす・・・・・・わよ」

 ルシフェル 「それだけはやめろっ!!」

  いったいどんな夢を見ているのか・・・

  まぁ大体見当はつくものの、今はこの状況を何とかしないと本当に死んでしまう。

 Dサイズギルティ 「る、ルシフェル君!?い、一体どうし・・・・・・おじゃましました〜!」

 ルシフェル 「待ってくれ〜〜!!」

  そんな時、俺の攻防を聞きつけて来たのか、ギルティカスタムの妹、ギルティが勢いよく入ってくるが直ぐに閉めた。

  どうやら何か勘違いしたらしい。俺は必死に呼び戻す。その後、妹の手によって俺は救出された。

  午前5時、日が昇り始めている頃の出来事だった。

 ギルティカスタム 「・・・・・・ウ、ン・・・・・・さむい」



  その日の放課後に、俺はある教室に呼び出されていた。

  朝、俺の下駄箱に手紙らしき物が入っていて、ここに来るよう書いてあったから。

  名前は書いていなかったので誰からは分からないが、行かないわけにも行かない。

  一体誰だ・・・?と思いつつ近くの机に座っていた時、教室の扉がガラっと開き、そこには見知らぬ少女がいた。

 ルシフェル 「君か?俺を呼び出したのは・・・・・・」

  俺は机から降りて少女に聞く。

  しかし少女は俯いて答えようとはしない。

  うちの学園の制服で、若干幼い感じの少女を俺は必死に誰かと思い出してみるも、該当する人物は無い。

  やがて少女は俺の目の前までゆっくりと歩いてくるが、相変わらず俯いて少しモジモジしている。

 少女 「ご、ごめんなさい、急に呼び出して」

 ルシフェル 「あの、何か用かな?」

 少女 「えっと・・・・・・その・・・・・・」

 ルシフェル 「悪いけど、誰だったっけ?ごめん、正直思い出せなくて・・・・・・」

 少女 「あ、すみません。先輩とこうして話すのは初めてなので・・・・・・」

  先輩・・・・・・これを聞くに後輩ということが分かる。2年か1年かは分からないが。

  そして少女は恐る恐るといった感じで話し始めた。どうやら1年生らしい。

 ルシフェル 「そっか・・・・・・それで、俺に何か?」

 少女 「あの、その・・・・・・」

  少女は目を瞑って、小刻みに震えていたけどやがて意を決したような表情を浮かべ、

 少女 「わ、私・・・・・・せ、先輩がっ、す、好きなんですっ!」

 ルシフェル 「え?」

  そして告白された。告白されたのは初めてなので、俺自身も驚いた。

 少女 「あ、あの、わ、私と付き合ってくださいっ!!」

 ルシフェル 「・・・・・・」

  思わず黙り込んでしまった。

  こういう時どうすればいいのか正直分からない。

  しばらく目を瞑っていた少女も、自分の気持ちを言えた勢いなのか、更に俺に問う。

 少女 「あ、あの?先輩の気持ちはどうなのでしょうか?」

 ルシフェル 「えっと、その・・・・・・」

 少女 「正直に言ってくださって構いませんから、その・・・・・・言って、ください」

  既に泣きそうな声で俺に言う。

  この姿を見ても、俺にはどうするればいいかなんて分からない。

  ただ、一つだけ俺の中ではっきりしている事があった。

 ルシフェル 「・・・・・・・・・俺は・・・・・・」

  そして、俺も少女に俺の気持ちを伝えた。



  俺は教室を出る。そこにはヘルカスタムがいた。

 ヘルカスタム 「る、ルシフェル!き、奇遇だなぁこんな所で」

 ルシフェル 「お前こそこんなとこで何やってんだ?」

 ヘルカスタム 「ち、ちょっと歩いてたら偶然な」

  どうやら聞いていたらしいな。

 ルシフェル 「お前、補習じゃなかったのか?」

 ヘルカスタム 「うっ!今休憩中だ」

 ルシフェル 「頑張れ。俺は帰る、部活も無いしな」

 ヘルカスタム 「お、おう、それじゃあな」

  思いっきり焦っているヘルカスタム。死神とあろう者が珍しい。

 ヘルカスタム 「あ、おい・・・・・・」

 ルシフェル 「ん? なんだ?」

 ヘルカスタム 「・・・・・・あぁいや、何でもねぇよ」

 ルシフェル 「??」

  その途中、ヘルカスタムは何か言いたげだったけど、

  俺は大して気にせず夕飯の支度があるのでさっさと帰ることにした。



 ルシフェル 「おーーい、飯できたぞ〜?」

  夕時、夕飯ができたのでギルティカスタムとギルティを呼んだ。ギルティは直ぐにやって来た。

 Dサイズギルティ 「今日のご飯はな〜に?」

 ルシフェル 「カレーだ。明日作らずに済むからな」

 Dサイズギルティ 「うわっ。手抜き?」

 ルシフェル 「じゃあ、要らないんだな」

 Dサイズギルティ 「い、要ります要ります!おいしく食べさせて頂きます!」

  ギルティとこんな他愛のない会話をしていると、俺は気づいた。

  いつもは真っ先に来るはずの人間が、いつまで経っても来ない。

 ルシフェル 「ギルティカスタムはどうしたんだ?」

 Dサイズギルティ 「お姉ちゃん?あ、えっと・・・・・・」

  ギルティは何やら言いづらそうな素振りを見せている。

 ルシフェル 「どうかしたのか?」

 Dサイズギルティ 「えっと・・・・・・それが、お姉ちゃん、帰ってくるなり部屋に篭っちゃってて、出て来ないの」

 ルシフェル 「部屋に?あいつが?」

  ギルティカスタムに何かあったのか?と思っても思い当たることは無い。

  腕を組み、俺は何かやってしまったのかと考えながらギルティカスタムの部屋の前までやって来た。

  そしてノックをしてみる。

 ルシフェル 「おい、飯できたぞ」

 ギルティカスタム 「・・・・・・いらない」

  一応返事は返ってきたけど、いつもの返事とは明らかに違う。

  それ以前に、ギルティカスタムが飯を食べないなんて一大事である。

  部屋に入ろうかと思ったけど、あいにく扉に鍵がかけられている為、この場で話す事にした。

 ルシフェル 「いらないって・・・・・・何かあったのか?」

 ギルティカスタム 「何も無いわよ。ただ食欲が無いだけ」

 ルシフェル 「その食欲が無いってのが問題なんだけどなぁ・・・・・・」

 ギルティカスタム 「うるさいわね。いらないって言ってるでしょ?それともバラされたいの?」

  それ言われたら何も言えなくなる俺。

 ルシフェル 「・・・・・・・・・・・・わかったよ。とりあえず鍋に入ってるから、腹減ったら勝手に食えよ?」

 ギルティカスタム 「・・・・・・」

  ギルティカスタムはもう何も言わなかった。

  俺は軽くため息を吐いて、再びリビングに戻ると、既にギルティがカレー食ってた。



 ルシフェル 「ったく、何なんだよ」

  俺もカレーを皿に盛って食べ始めた。その時、俺の前で食べていたギルティの俺に話しかけてきた。

 Dサイズギルティ 「・・・・・・・・・・・・お姉ちゃんさぁ」

 ルシフェル 「ん?」

  その口調は、どこか言い辛そうというか、遠慮してるというか、そんな口調だった。

 Dサイズギルティ 「お姉ちゃんがさ、今日の朝、何でルシフェル君のベッドに入っていたと思う?」

 ルシフェル 「・・・・・・さぁ?寝ぼけてたんじゃないのか?朝弱いし」

 Dサイズギルティ 「多分違うと思うんだよね・・・・・・」

 ルシフェル 「違う?」

  俺にはよくわからなかった。

  ギルティの表情を見るに、ふざけてる訳でもないし、だったら他に何の理由があるんだろうか。

 Dサイズギルティ 「お姉ちゃんって、ああ見えるけど、結構寂しがりやなんだよ」

 ルシフェル 「あいつが?まさかぁ」

 Dサイズギルティ 「ルシフェル君は知らないかもしれないけど、

           ルシフェル君が家に来る前は、お姉ちゃんはあたしのベッドの中に入り込んでたの」

 ルシフェル 「・・・・・・マジですか?」

 Dサイズギルティ 「マジだよ」

  あいつの意外な一面を聞いた。俺に対する接し方からは想像もつかなく、俺は少し驚いた。

 ルシフェル 「いつからそんな事?」

 Dサイズギルティ 「確か、お父さんとお母さんが死んじゃって、少し経ったくらいから」

 ルシフェル 「つー事は、結構前からか」

  ギルティ達の両親が死んだのは、俺とギルティカスタムが小学校低学年の時だった。

 ルシフェル 「それで、何でそのことを俺に話したんだ?」

 Dサイズギルティ 「え?あ、いや・・・・・・何となく。お姉ちゃんがあんなになるのは久しぶりだったから・・・・・・」

 ルシフェル 「そっか。まっ、腹が減れば降りてくるって」

  理由はそれだけじゃないと思うけど、目の前のギルティは少ししゅんとなっている。

  俺はワザとふざけた感じで言うと、ギルティは笑ってカレーを食べ始めた。

  気がつけば、俺のほうが先に食べ終えていたので、食器を片す。

 Dサイズギルティ 「あ、そうだ」

  食器を洗い始めると、ギルティが何かを思い出したような声を上げる。

 Dサイズギルティ 「あのね?さっき、ヘルカスタム先輩から電話があったんだけど」

 ルシフェル 「あいつから?」

 Dサイズギルティ 「ルシフェル君、今日告白されたんだって?」

 ルシフェル 「あ、ああ」

  やっぱりヘルカスタムは聞いていたらしい。

 ルシフェル 「でも、それがどうかしたか?」

 Dサイズギルティ 「うん。ヘルカスタム先輩が言うには、その場にお姉ちゃんもいたんだって」

 ルシフェル 「なっ」

 Dサイズギルティ 「それで、しばらく聞いていたら直ぐに帰っちゃったらしいんだけど、様子が変だったって」

 ルシフェル 「・・・・・・・・・」

  俺は、また黙り込んでしまった。でもこの時、何となく部屋に閉じこもってる理由がわかった気がした。

  しかし、今日はもう何を言ってもだめだろうと思って、今日のところは放っておく事にした・・・・・・。



  次の日の朝。目覚めると、俺のベッドの中には誰もいない。

  時計を見れば、もうのんびりしていられない時間になっていたので、俺は急いで征服に着替えてリビングに下りた。

 ルシフェル 「誰もいない・・・・・・」

  そこにはもう誰もいなかった。そしてテーブルの上には紙が一枚。

  見れば、ギルティからの置手紙だった。手紙には、先に行くとだけ書かれていて、弁当が置かれている。

 ルシフェル 「今日はギルティが作ったのか・・・・・・さて」

  俺はもう一人、気になるあいつの所に行く。そして再びノックを2、3回する。

 ギルティカスタム 「・・・・・・・・・なに?」

  返事が返ってきた。

 ルシフェル 「お前、早くしないと遅刻するぞ?」

 ギルティカスタム 「今日は休むわ。ちょっと、具合が悪くて・・・・・・」

 ルシフェル 「おい、大丈夫か?」

 ギルティカスタム 「大丈夫よ。ルシフェルはさっさと学校に行きなさい。私は寝てるから・・・・・・」

  部屋の奥からは、どこか元気の無いギルティカスタムの声。

  部屋のドアを開けてみると、開いた。どうやら昨日のうちに開けたらしい。

 ルシフェル 「入ってい――」

 ギルティカスタム 「入って来ないで。早く学校に行きなさい」

  入ろうとしてみたけど、ギルティカスタムに止められた。仕方なく、俺はその場を後にした・・・・・・。



  コンコン・・・・・・

  再びギルティカスタムの部屋の扉にノックをし、部屋の中に入った。

 ルシフェル 「おーい、昼飯持って来たぞ」

 ギルティカスタム 「は?ちょっと、何で家にいるの貴方は!?」

  そこには驚きの表情を浮かべているギルティカスタムが、ベッドの上にいる。

  ギルティカスタムは何故か学校の制服姿だった。

 ルシフェル 「何でお前制服なんだ?」

 ギルティカスタム 「ど、どうでもいいでしょそんな事。それより、私の質問に答えなさい。学校はどうしたの?」

 ルシフェル 「休んだ」

 ギルティカスタム 「や、休んだって・・・・・・放っておいてって言ったでしょう?」

 ルシフェル 「病人を放っておけるか。ましてや、お前を一人にすると尚更だ」

 ギルティカスタム 「よ、余計なお世話です」

 ルシフェル 「はいはい。病人は大人しく寝てろ」

  俺はギルティカスタムの言うことを軽くあしらい、昼飯のお粥を机の上に置き、近くの椅子に座った。

 ルシフェル 「どうだ具合は?熱は・・・・・・少しあるか」

  ギルティカスタムのおでこに手を置いてみると、確かに少し熱いし、ギルティカスタムの顔も赤いような気がする。

 ギルティカスタム 「・・・・・・」

 ルシフェル 「でも、まぁ大分元気そうだな。部屋に閉じこもってるから、相当酷いかとおもっ――」

 ギルティカスタム 「・・・・・・・・・なんで、何で残ったの?何で私に構うの?私に構わないでって言ったでしょ?」

 ルシフェル 「・・・・・・」

  ギルティカスタムは、何だか怒ったような口調で俺に言っている。

 ギルティカスタム 「私なんか放っておいて、あの後輩の娘と一緒に居てあげればいいでしょ?

           私は・・・・・・一人でもだいじょむぐっ!」

  更に言葉を続けるギルティカスタムに、俺は机に置いたお粥を取り、

  スプーンで口に運びギルティカスタムの言葉を中断させた。

 ルシフェル 「うまいか?卵入れてみたんだ」

 ギルティカスタム 「・・・・・・美味しい」

 ルシフェル 「そいつは良かった。ほら、昨日もどうせ食ってないんだから食べなさい」

  お粥を一口食べて、途端に大人しくなったギルティカスタムの口に、俺はスプーンを持っていき、

  ギルティカスタムは珍しく大人しく食べ続けていた。

 ルシフェル 「お前さ、何か勘違いしてるようだから言っとくけど。俺、昨日の後輩の告白断ったから」

 ギルティカスタム 「むぐっ!え、え?な、何で?可愛い娘だったじゃない」

  そして、俺は昨日の事を言うと、ギルティカスタムは少しお粥を詰まらせたのか、咽て聞く。

  昨日の告白、俺の返事はNOだった。

 ルシフェル 「確かに可愛い娘だったけどさ。俺、あの娘の事好きじゃないし・・・・・・あ、嫌いってわけでもないぞ?」

 ギルティカスタム 「でも、そういう感情は普通、最初からか付き合ってから生まれるものなんじゃないの?」

 ルシフェル 「あ〜、そういう見方もあるけどさ。

       俺ってほら、どっかの誰かのせいでデンジャラス人生を送ってきたおかげで、

       どうもあの娘のような普通な娘は合わないというか・・・・・・」

 ギルティカスタム 「あの後輩の娘は随分な言われようね」

  そう言うギルティカスタムの表情は、料理の事もあるのか、少し柔らかくなって笑っていた。



 ルシフェル 「それでさ、昨日の夜考えてみたんだけど、どうやら俺って普通な娘より、

       お前のようなデンジャラス娘の方が合ってる事に気づいちゃってさ。

       あ、一応言っとくけどMじゃないぞ?」

 ギルティカスタム 「え?それって、まさ――」

 ルシフェル 「はい、あーん」

 ギルティカスタム 「あーん」

  ギルティカスタムはまた一口食べる。

 ギルティカスタム 「むぐむぐ・・・・・・それで話を戻すわよ。

           さっきのルシフェルの言う事からして、それって、私に対する告白?」

 ルシフェル 「まぁ、そう捉えてもいい」

 ギルティカスタム 「・・・・・・そう・・・・・・クス、そうなんだ。

           まぁ、私も別に断る理由もないし、面白そうだからOKしてあげる」

  長年付き合ってるからわかるが、どうやらいつものこいつに戻ったぽいです。

  どこか嬉しそうな表情を浮かべているが、俺は正直少し恥ずかしかった。

 ギルティカスタム 「そうなったら、勿論ルシフェルは私と永遠に一緒なのよね?」

 ルシフェル 「永遠っすか?まぁ、お前って、寂しがりやのうさぎちゃんだからしょうがないか」

 ギルティカスタム 「なっ!だ、誰が寂しがりやのうさぎちゃんよ!!」

 ルシフェル 「ほう、だったら俺やギルティのベッドに毎晩毎晩入り込んでたのは何でかなぁ?」

 ギルティカスタム 「そ、それは・・・・・・」

 ルシフェル 「うさぎって、寂しいと死ぬんだよなぁ・・・・・・」

 ギルティカスタム 「さ、寒いからよ寒いから。だ、誰が寂しいからって、ルシフェルの所になんか・・・・・・」

  ギルティカスタムは、焦った様子で俯いて何かブツブツ言っている。

  こんなギルティカスタムを見るのは本当に久しぶりなので何処か新鮮だ。

 ギルティカスタム 「な、何その目は?」

 ルシフェル 「いや。ただ、お前ってこうして見ると普通に可愛いなぁって思ってさ」

  珍しく今は俺が優勢に立っている。少し睨むようにギルティカスタムが言うと、俺はからかうように言った。

  それを聞いたのか、ギルティカスタムの顔は赤くなる。今日のこいつはいつもの冷静さが欠けてるらしい。

 ギルティカスタム 「そんな事言っても何も出ないわよ。い、いつまでも笑ってるんじゃないの、あの事ばらすわよ?」

 ルシフェル 「フッ・・・・・・笑止。CDならほら、既に俺の手の中に」

 ギルティカスタム 「い、いつの間に」

 ルシフェル 「こういうのは、机の上にポッと置いとくものではないのだよ」

 ギルティカスタム 「・・・・・・・・・」

  勝利。

  俺の脳裏で浮かんだ二文字。俺はとうとう、忌まわしい映像が収録されているディスクの奪取に成功した。

  フッ、見ろ。ショックで黙り込んでいるこいつを。

 ルシフェル 「ほれ、早くしないと冷めちまうから食べろ」

  そして俺は、再びお粥をスプーンですくい、ギルティカスタムの口元に持っていく。

 ギルティカスタム 「・・・・・・口移し」

 ルシフェル 「ハ?」

  そして今まで黙っていたギルティカスタムが、不意にボソッと言ったのが聞こえて、

  俺は間抜けな返事をしてしまった。

 ギルティカスタム 「スプーンじゃなくて、口移し」

 ルシフェル 「・・・・・・・・・マジですか?」

 ギルティカスタム 「私は病人よ?それをお世話する為にルシフェルは学校を休んだんでしょ?さっ、早く」

  ギルティカスタムは俺に口を突き出す。

  ディスクは回収したとはいえ、やらないと何をされるかわかったもんじゃないので、軽くため息を吐き、

  俺はお粥を口に含み、ギルティカスタムの口へと顔を持っていき唇を重ねた。

 ルシフェル 「・・・・・・・・・ふぅ、こ、これでいいか?」

 ギルティカスタム 「少し食べ辛いわよ?ちゃんと運びなさい。はい次」

 ルシフェル 「まだやるんですか?」

 ギルティカスタム 「当たり前でしょ?ほら早く」

 ルシフェル 「わかったよもう」

  こうして俺はこの後も、口移しで今日一日食べ物を食べさせなくてはいけなくなってしまった。

  そして今日から俺とギルティカスタムは、一応付き合う形になる・・・・・・。

  ギルティカスタム曰く、これで私の人生はもっと面白くなりそう、だそうだ。



 ルシフェル 「・・・・・・・・・と、言うわけだ」

  そして次の日、俺は放課後のとある教室で、椅子に座らされ縄で縛られ、昨日の事を話して・・・・・・

  尋問させられていた。

 デリンジャーアームズ 「クククク・・・・・・そんな事があったんですか」

  デリンジャーアームズという、もう一人の悪魔に。

 デリンジャーアームズ 「ククク、おめでとうございますギルティカスタム先輩。結婚式には呼んでください」

 ギルティカスタム 「えぇ、是非」

 少女 「あ、あの・・・・・・先輩と、お幸せに」

 ギルティカスタム 「貴女もありがとう。世の中にはルシフェルみたいな女男よりも、

           もっと、も〜〜っといい男が五万といるから、貴女も頑張って!」

 少女 「は、はい・・・・・・」

 ルシフェル 「聞きたいんだけど、何で俺だけ縛られてるんだ?」

  この場には、ギルティカスタムも居る。

  昨日とは打って変わって、いつもの調子で妖しい雰囲気を漂わせ、

  一昨日俺がふってしまった後輩と話していた。ていうか、話題が2段階くらい飛んでるぞ?

 サンドロックカスタム 「ルシフェルって、そういう趣味があったのねぇ・・・・・・」

 ルシフェル 「違うわっ!!ギルティカスタムだけが自由で、何で俺だけこんな尋問みたいな、

       いや確実に尋問受けてるんだと聞いている?!」

 デリンジャーアームズ 「オレは面白そうな話が聞けるかと思って。

             ちなみにセッティングしたのも、天の道を往くオレです」

 ヘルカスタム 「一昨日のあれを、偶然見ちまったらなぁ」

 サンドロックカスタム 「ヘルカスタムの付き添いよ」

 少女 「で、デリンジャーアームズ先輩に、その、ここに来るよう朝手紙が・・・・・・」

 Dサイズギルティ 「妹として当然」

 エピオン 「お前達二人は、これまで学園を休んだ事が無いだろう?

       生徒会執行部として一応聞いておこうかと思ってだ。話を聞く限り、二人ともサボりという事になる」

 ギルティカスタム 「彼女が居ないわけにもいかないでしょう?」

  即答かよ。ここには、デリンジャーアームズやギルティカスタムや例の後輩の他に、

  ギルティ、ヘルカスタム、サンドロックカスタム、エピオンが居る。

 エピオン 「ルシフェル、聞きたいことがあるんだが?」

 ルシフェル 「何だよ?」

  俺がガックリとしていると、エピオンが話しかけてきた。

 エピオン 「話しの途中にあった、あの事とはいったい何のことだ?」

 ルシフェル 「!!そ、そそ、それは・・・・・・っ!!」

 ギルティカスタム 「クス・・・・・・これなぁ〜んだ?」

 ルシフェル 「!!!な、なぜギルティカスタムがそれを持っている?!俺は確かにあの時・・・・・・」

  エピオンの当然といえば当然な質問に、俺は汗を大量に流していた時、

  不意にギルティカスタムがポケットの中から俺が回収したはずのディスクを見せてきた。

  おかしい、あれは俺が使ってる部屋の最奥の最奥にあるはずなのに。

 ギルティカスタム 「クスクス・・・・・・ルシフェルってほぉ〜んとにお馬鹿さぁん。

           私があんな所に置くと思った?あれはただのコピーよ、コ・ピ・ー♪」

 ルシフェル 「何ですと!!」

 ヘルカスタム 「なんじゃそりゃ?」

 サンドロックカスタム 「何が入ってるの?」

 Dサイズギルティ 「もしかして、Hな映像でも入ってるのお姉ちゃん?」

 ギルティカスタム 「さぁて、どうかしらね」

 デリンジャーアームズ 「ク、ククククク」

  ヘルカスタムを始め、サンドロックカスタムやギルティもディスクに興味を持たれたようで。

  デリンジャーアームズは笑いを堪え、ギルティカスタムは楽しそうにとぼけている。

 エピオン 「何か怪しい映像が入ってるんじゃないだろうな?生徒会執行部としては見過ごすわけには」

 ギルティカスタム 「私は、エピオンの秘密を今明かそう・・・・・・」

 エピオン 「この事は無かったことにする」

  あのAC学園の最強人物エピオンを黙らせるとは、俺は物凄い人を彼女にしてしまったと、今改めて思った。

 エピオン 「さて、ルシフェル。どんな理由であれサボったのは事実。何か罰を受けてもらう」

 ルシフェル 「それはギルティカスタムだって同じだろ?」

 エピオン 「彼女は・・・・・・・・・・・・・・・」

 デリンジャーアームズ 「エピオン様。その罰とやら、オレに任せてもらってもよろしいですか?」

 エピオン 「デリンジャーアームズか。では任せる」

 ルシフェル 「エピオン、何だ今の間は?」

  一体エピオンにギルティカスタムは何をしたんだろうか?そしてデリンジャーアームズの罰って何だろう?

 デリンジャーアームズ 「それでは、今からルシフェル先輩のコスプレ撮影会を」

 ルシフェル 「なっ!!」

 ヘルカスタム 「ひゅ〜!いいんじゃね?」

 サンドロックカスタム 「面白そう・・・・・・」

 Dサイズギルティ 「お姉ちゃん?彼女として、彼氏が女装するって言うのはどうなの?」

 ギルティカスタム 「今に始まったことではないし、せっかくの美女顔なんだから、有効活用しないと、ね?」

 Dサイズギルティ 「それもそうだね」

 少女 「あ、あの・・・・・・頑張ってください」

  デリンジャーアームズから出た言葉に、俺は驚愕した。そして皆さんもノッている様子。

  しかも、エピオンはいつの間にかいない。また仕事か、忙しい奴。



 ティエンロン 「キャプリちゃ〜〜ん!ここにいるんですか〜〜?」

 少女 「あ、ティエ」

  その時、教室の入り口がガラっと開くと、そこにはティエンロンの姿がいた。

  キャプリ?聞きなれない名前だが、恐らくあの後輩の事だと思う。

 ティエンロン 「あ、いたです。何やってるですか?今日は一緒に帰るって約束したじゃないですかぁ」

 キャプリ? 「あ、ご、ごめんなさい。ちょっと先輩に・・・・・・」

 ティエンロン 「あ、先輩方こんにちわです。

        あ、ギルちゃん先輩!って、今日はバトる気はないです、行きましょうキャプリちゃん」

 キャプリ? 「え? あの、私はこれから・・・・・・さ、撮影会・・・・・・」

  キャプリと呼ばれている少女は、ティエンロンに発見されると手を引っ張られている。

  ていうか、俺はこのままですか。

 デリンジャーアームズ 「キャプリコーンよ。あとで本にしてやるから安心しろ」

 ティエンロン 「じゃっ、皆さんさようならです〜〜!!」

 キャプリコーン 「で、では皆さん、またあし・・・・・・ティエ、手が痛いよ〜〜!!」

  そして本名キャプリコーンという少女は、ティエンロンに流されるがまま教室を後にして行った。

 ギルティカスタム 「・・・・・・・・・相変わらず元気な娘。さてルシフェル?撮影会、始めましょうか?」

 ルシフェル 「意義あり!!」

 ギルティカスタム 「意見がある場合は手を上げて?」

 ルシフェル 「・・・・・・・・・」

  ギルティカスタムのこの一言で、俺はすべての抵抗力を失ったような気がした。

  縛られてるのにどうやって上げると言うのだろうか。

  そして、屈辱の撮影会は始まった。

  最後に一言・・・・・・あれがまた、繰り返されるというのか・・・・・・。



  この日の夜、俺はまたあの夢を見た。

  目の前には相変わらず黒髪の少女が泣いていて、


  ――お父さん――お母さん


  少女がそう言うと、いつもならここで終わるのだけど、今回は続きみたいのがあった。

  それは、しゃがんで泣いている少女に、顔は見えないけど一人の少年が少女の傍まで寄ってこう言うんだ。


  ――あの・・・・・・・・・タムちゃん、その、泣かないで

  ――ひっく・・・・・・っく・・・・・・

  ――泣かないで


  泣いている少女に、少年はただそう言って少女を慰めているんだけど、少女は一向に泣き止まない。

  しばらくそれが続くと、少年は最後に一言こう言った。


  ――泣かないで、僕がずっといっしょにいるから

  ――ひっく・・・・・・ぇ?

  ――僕がお父さんとお母さんの代わりに、ずっといっしょにいるよ。だからもう泣かないで?

  ――ほんと?やくそくしてくれる?

  ――うん、やくそく

  ――っく・・・・・・じゃあ、やくそく。わたしたちはこれからもずっといっしょ


  少年の一言に、泣き止み少女は笑顔を見せた。

  少女が泣き止むと、少年も笑い二人は指切りをし、

  二人は手をつないで何も無い空間から消えるように俺の前からいなくなる。

  そしてこの何処かで見たような光景を、俺は黙って見ていた。

  誰だかは知らないけど、あの二人は幸せになることだろう。

  そして、これを最後に、俺がこの夢を見ることは無かった。


 ルシフェル 「・・・・・・」

  そして目が覚めた。

  朝飯と弁当を作らなければならないのでさっさと起き上がると、

  相変わらず俺のベッドの中で寝ている彼女の姿。

  既に慣れているの放っておく。

 ルシフェル 「さってと」

 顔を洗い、自分に気合を入れる。

  何故なら、今日も今日で俺の災難な日は始まるのだから・・・・・・。



2006/08/23 00:20:11  >>19氏
2006/08/30 00:49:24  >>61氏
2006/09/02 00:44:18  >>72氏
2006/09/02 00:41:25  >>70氏
2006/09/02 00:42:55  >>71氏
2006/09/02 00:44:18  >>72氏
2006/09/02 00:48:31  >>73氏
2006/09/02 00:50:12  >>74氏
2006/09/02 00:54:24  >>75氏
2006/09/02 00:56:34  >>76氏
2006/09/02 01:03:15  >>77氏

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